団扇夕顔 澤村陶哉作
菓子 つばらつばら 鶴屋吉信浅茅原
つばらつばらに 物思へば
古りにし里し 思ほゆるかも
(大伴旅人 万葉集巻3.333)
"しみじみと思いに沈んでいると、あの故郷明日香が思い出されてくるなあ"
初夏のこの時期、丈の低いチガヤが一面に生えでるこの原っぱを、浅茅原といいます。
夏越しの祓で神社に置かれる茅の輪の材料で、昔から日本人には馴染みの植物です。(京都新聞6月1日より)
つばらつばらには、"しみじみと、じっくりと"の意味があります。
家持も浅茅原を眺めつつ、物思いにふけったのでしょうか。京都には、和菓子の店がたくさんあります。
その中でも昔は、上菓子屋さんと饅頭屋さんはきちんとわかれていたそうです。
その上菓子屋さんの一つ鶴屋吉信さんのお菓子"つばらつばら"を、団扇夕顔の皿に入れてみました。
小さな町屋の小さな庭を見ながら、美味しいお茶と一緒につばらつばらに物思いにふけってみてください。